2018年4月16日月曜日

the nextage について・その1

   the nextage (ザ・ネクステージ)という名の劇団と言うかユニットを2015年から作って、年1回大阪の小劇場で公演している。構成メンバーは旗揚げ公演と第2回目までは近畿大学の芸術学科舞台芸術専攻の在学生、主として2~3年生であった。演目は『見よ、飛行機の高く飛べるを』(作・永井愛)が第1回公演。第2回公演は学生が数年前に卒業制作として書いた戯曲『Seven Star』(作・卜田 亜彌)とMODEのレパートリー『逃げ去る恋』のニュー・バージョン『逃げ去る恋2016』(原作・チェーホフ『三人姉妹』、台本・松本修)。
    大学の授業としての実習公演とは一線を画して、出演者はオーディションで選び、学外の劇場で有料で公演している。授業では「舞台芸術専攻」とはいえ、必ずしも皆がやる気満々というわけでもなく、残念ながら「単位さえ取れればいい」という学生、「別にプロの俳優になる気はないので、あまりオッサン(私のこと)にガミガミ言われたくない」という学生が混じっている。かつてMODEでは、「もう来るなっ!」「出て行けっ!」と怒鳴り散らしたこともあったが、大学の授業ではそういうわけにもいかず、ぐっと我慢しながらセンセイをやっていることが多い。このthe nextageに関しては、あくまで自ら参加を望んだ者たちが集まっているから、授業に比べれば「キビシイ稽古場」となっている。それでも何年か前の卒業生に言わせれば「ずいぶん優しくなりましたね」、そう見えるらしい。いずれにせよ、授業ではやれないこと、ちょっとハードルを上げた課題に挑んでいる。
    演目としても『逃げ去る恋』は別として、MODEの演目候補にはならなかった作品を取り上げて楽しんでいる。『見よ、飛行機の高く飛べるを』は、明治時代の女学校の寄宿舎の話で『青鞜』、平塚らいてふ、与謝野晶子に影響を受けた女生徒たちの話だ。MODEでは考えられない演目。教育目的と言いながらも、この「新劇的テキスト」、悪くない。良い戯曲である。また、『Seven Star』という作品、まだ近畿大学で教授をされていた竹内銃一郎氏が指導して完成した戯曲なのだが、若い7人の女の子たち (七つ子)が三十路になる日の話である。これ実はあのグリム童話の『白雪姫と七人の小人』を基にして書かれている。それを私はキャバクラという設定にして演出している。歌と踊りもある。これもMODEではありえなかった演目。
 そう、楽しんでいるのだなあ、私は。若い俳優の卵たちと現場を持って、これまでやれなかったことをやっている。ただ限界はある。当たり前だが、参加している連中はこれからMODEや私と将来一緒に何かを作ろうと思っているわけではない。私としても「今後ぼくの作品作りに参加してくれないか」とは言い出しかねている。そんな卵たち相手の現場なのである。
(この項続く)

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